Avener Prado / BuzzFeed News

かつては森だった土地に放たれた牧畜。ブラジル北西部に位置するアマゾナス州Apuiにて。

アマゾン川流域地帯で、高収入を生む牧畜用の土地取引が活発に行われ、アマゾンの森林火災を悪化させていることが、国際問題に発展している。

BuzzFeed Newsでは、森林火災で大きな被害を受けているアマゾンのある地域を取材した。牧場主に話を聞いてみると、牧畜用に拓かれた1ヘクタール(1万平方メートル)の土地は、開墾前の価格の20倍の値段で取引されているとのことだ。

アマゾナス州にあるApuiでは、ハイウェイの近くで水の便がよい場合、約2.5ヘクタールの牧草地に、1万レアル(約26万円)の値がつくことがある。林地のままだと、500レアル(約13,000円)にしかならない。このような土地売買の多くは、違法に行われている。

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アマゾナス州のトランス・アマゾン・ハイウェイ(アマゾン横断道路)で木材を運ぶトラック。火事はいつも開墾された後に始まる。

2019年、これまでにApuiでは2千件以上の火災が発生している。同市はアマゾナス州で一番牧畜が盛んな場所で、市の人口一人に対して雄牛の数は8頭にものぼる。そしてこれが、州外から他の牧場主を引き寄せる原因となっている。

「林地は安く、放牧地は安くありません。そのため、森林伐採が増え、焼き畑が増えました。隣接するロンドニア州の牧場を手放し、州外から移り住む人が多いからです」と牧場主のDemesio Souza da Luzさんは話している。

Apuiにおける所得と就業率は低く、1日当たりの賃金は、約18ドル(約1,900円)だ。だが、森で伐採の仕事を2日間ですると、約120ドル(約13,000円)の収入になる。木を切ったら、燃やす、とLuzさんは話している。子どもふたりを大学に行かせるのにお金を受け取ってよかった、とLuzさんは取材に答えている。

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Apuiの田舎道。至るところに焼かれた跡がある。

Apuiで発生していることは、アマゾンで広く行われている森林伐採の一部に過ぎない。2019年1月からの7か月間で、前年同時期と比較して、森林伐採率は67%増加したと国立宇宙研究所(INPE)は報告している。

ブラジルのジャイル・ボルソナロ大統領は、環境保護主義者を批判し、熱帯雨林や固有の土地が新たに保護地域にされるのを阻止すると誓いアマゾンに「植民地的な」関心を寄せる他国を攻撃した。破壊的な森林火災が始まったとき、森林火災はNGOによる放火ではないか、と大統領は当初、過ってNGOを非難した。

ボルソナロ大統領の政策により、ドイツとノルウェーはアマゾン基金への資金拠出を停止した。2008年以降、両国は森林を保護する基金に、総額34億レアル(約892億円)の貢献をしてきた。両国による資金拠出の停止は、ブラジル環境省が同基金のガイドラインと成果を監視する委員会を一方的に交代させたことが、引き金となった。

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Demésio Souza da Luzさん

アマゾンでは毎年、気が滅入るほど定期的に火災が起きているが、今年は特に悲惨だ。Apuiの牧場主やブラジル環境・再生可能天然資源院(IBAMA)によると、かつてないほど組織的に行われているとのことだ。

IBAMAでApui地域を担当している調査官のDanilo Nascimento氏は、過去1週間で20件にのぼる伐採、焼き畑を確認している。

「焼き畑(野焼き)は草原の除草をする一般的な手段ですが、それと関連させて、伐採が増えています」と同氏は話す。

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燃えつくされた土地、Apuiにて。

捜査中の事案では、同地域に燃料タンカーが到着したあと、バス2台で作業員とチェーンソーが運ばれてきたことが分かっている。チェーンソーを使って木を倒し、木が乾燥するのを数日待ち、辺り一面に燃料を撒き、火をつける。

伐採と火事が広範囲で発生しているが、伐採を命じている人が特定され、責任を取らされる可能性は低い。

「計算してみたのですが、伐採するのに約300万レアル(約7,900万円)使った人がいます」と牧場主のPaulo Sancler Lopesさんは話す。Sanclerさんは、21年間、500頭の牛を飼育しており、火を使わずに牧草地を管理してきた。州外の人たちが伐採していて、罰金を逃れるために、オレンジ栽培用の土地として登録する、という法の抜け穴を使っている、とSanclerさんは話す。

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燃やされた森林から立ち昇る煙。Apuiのトランス・アマゾン・ハイウェイから見える。

土地の所有者が誰なのか法的な確証がないため、所有権問題で他の牧場主にかなりの土地を奪われた、とSanclerさんは話している。

「20年も法廷で戦って、知らない人との対立を生むのはいやです。土地を失ったほうがましです」とSanclerさんは言う。

Adelario Ronnauさんは、83ヘクタールの土地と130頭の牛を飼っている。この地域を伐採して、住むように当時の軍事政権に勧められ、他の入植者と同じように、1983年からApuiに住んでいる、とRonnauさんは話す。

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Paulo Sancler Lopesさん

「伐採している人たちは、土地を専有したいのです。ビジネスの仕組みはこうです。伐採してから少し待ち、牧場を作ってから売るのです」とRonnauさんは話している。

Ronnauさんのような昔からいる牧場主は、新たな土地収奪者を責め、自分たちは違うと主張する。自分たちは当時の政府から勧められてApuiに来ており、近隣の州におけるアグリビジネスの拡大に押されてやってきたわけではない、と言う。

ブラジル環境・再生可能天然資源院(IBAMA)は、伐採されて焼かれた土地の牛を押収し、多額の罰金を科す権限を持っているが、実際のところ、長年ここに住む牧場主が育てた牛と、伐採して焼き畑にしている州外の牧場主が売っている牛とを区別することは不可能に近い。

「伐採された土地で育てられた牛か、そうでないかは分かりません」とSanclerさんは話している。


この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:五十川勇気 / 編集:BuzzFeed Japan

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